プログラミングで世界を変える

ゲームプログラミングと技術のこと

AWE USA 2019で初めての海外出展をしてきました #mercariAWE

f:id:splas_boomerang:20190611181536p:plain

目次

はじめに

所属するメルカリのR4D XRチームで AWE USA 2019というイベントに行ってきました。今回はブース出展が目的での参加でした。

AWEとはAugmented World Expoの略称で、世界最大のAR系イベントとして知られています。近年はARに限らずMR/VR関連の団体も参加するようになっています。

今回の出展には、メルカリの技術プレゼンスの向上が背景にありました。メルカリはある程度の知名度がある会社ですが、メルカリでXRを取り組んでいることはあまり知られていません。そこで、メルカリのXRチームとしてグローバルな場でチャレンジすることに大きな意義がありました。

この辺りの話は、先日公開されたBusiness Insiderさんの記事中でも触れられています。

www.businessinsider.jp

開催までの話

持ち物

前回のCESでは

ということがあったので、今回は特に注意して持ってきました。

首から下げるスタイルは忘れるリスク・無くすリスクが低くておすすめです。(治安の悪い地域では逆に危ない可能性があるので要注意ですが)

また、持ち物リストを作ってインターネットで共有したら、多くの人からフィードバックをいただきました。持っていくものをこうしたリストに残しておくと、次回以降にも参照できて良さそうな気がします。

このリストは自分用ですが、使いたい場合はコピーしてもらって大丈夫です。

docs.google.com

また、今回は出展の関係でLooking GlassのLargeサイズをUSまで運搬する必要がありました。サイズ感としてはこのくらいで、重量は約8.5kg。

ガラスの塊の運搬ということで、破損のリスクがとても怖かったので今回は機内持ち込み荷物として運びました。 このキャリーケースにちょうどLargeとVR Ready PCが入る大きさでした。

ただLooking Glass Factoryさんによると専用ケースを使うのがおすすめだそうです。念の為ケースをもう一重梱包して運搬しているそうです。

ちなみに空港の手荷物検査では多重チェックが入ったりしました(巨大なガラスの塊怪しすぎる、分かる)。後で紹介するFocalsとかも怪しまれました。

サンノゼサンタクララの様子

天気がよく過ごしやすい気候でした。ツイートは到着直後で、チェックインまで時間があったので少し散策しつつご飯を食べた時のものです。

b8taという色んな面白ガジェットが置いてあるお店がありました。

Best BuyというUSの家電量販店には先日発売されたばかりのOculus Quest / Rift Sの販売スペースを確認しました。

ホテルでの生活

今回の出張では、AWEの会場と併設されているホテルに宿泊をしていました(機材を抱えて会場を行き来することも多かったので助かりました)。

初日以外は基本的に出展の準備や視察で忙しく、出張期間中のほとんどの時間をホテルで過ごしていたのですが、そこでUberEatsが大活躍でした。

注文から15分くらいで部屋まで届けてくれる便利さで、宿泊日数5日中5回も使ってました。

ただし、何故か内2回は部屋まで届けてきてくれないことがありました。突然電話がかかってきて、ただでさえ不得意な英語に加え電波状況の悪さから全然意思疎通が出来なくて苦労したりしました。

その他ホテル内にジムがあったのも捗りました。

ちなみに最終日のボヤ騒ぎがあり、一時は帰れなくなるかと思いました。

大きなホテルなので大丈夫だと思う反面、実際に焦げ臭い匂いが充満していたりと結構緊迫した空気でした。

出展周りの話

実際のブースはこんな感じ。3メートル四方のスペースで、計4種類のデモを展示しました。

僕の展示した内容はこんな感じです。

www.youtube.com

TL;DRとしては

  • メルカリアプリと連携した商品の3Dビューワー
  • 裸眼立体視が出来るLooking Glassを使用
  • 操作不要のUIとハンドジェスチャーでの操作性を追求

詳細については、先日行われたAWE USA 2019 Recap at Mercariにて発表しているので、下記スライドを参考にしてください。

speakerdeck.com

実際に展示してみての反応や所感

1. Looking Glassが良くも悪くも興味を引いた

通路の角で大きなサイズのLooking Glassを設置していたので、近くを通る人が興味を示してくれることが多かったです。しかし、Looking Glassというデバイスを全員が知っている訳ではないので、それ自体の展示だと勘違いされることも多かったです(その場合は近くのLooking Glass Factoryさんのブースの場所を案内していました)。 そこから興味を持って話を聞いてくれる人もいれば、内容には興味を示さない人もいて、良くも悪くもという感想です。もちろんLooking Glass自体を悪く言っている訳ではないのですが、珍しいデバイスを使っていると肝心の内容を見てもらいづらいのは、日本でも海外でも変わらず、という部分を改めて実感しました。

2. コンセプトやインタラクションについての評価は高かった

今回はメルカリというアプリがあり、その上でショッピングの体験をエンハンスするようなデモとして展示をしていました。そこで、きちんとスマホ版のメルカリ画面の拡張としてLooking Glassがあり、商品の情報をよりリッチに、より詳細に、より直感的に感じられることに注力した開発をしました。その点について拙い英語ながらきちんと説明すると共感してくれる人も多くいて、単純に嬉しかったです。

3. 3Dスキャンについての指摘が多かった

反面、実現可能性の部分についての指摘も多かったです。実際、今回のデモは商品の3Dモデルがある程度あることを前提としており、すぐに実現できる性質のものではありません。しかし、Rest ARやQloneなどスマートフォンで3Dスキャンをできる技術は着実に進んでおり、そう遠い未来でもないことは確かです。PoC段階での展示であることを説明した上で、将来的にはこうしたショッピング体験を実現したいということを伝えました。

英語でのコミュニケーションについて

今回海外での出展ということで、主に英語でのコミュニケーションに懸念がありました。事前に想定問答集を作成して回答や関連する英語表現などは把握していたため、当日は基本的なやりとりは概ね困ることはありませんでした。しかし、折角興味を持ってくれて深い話になってくると上手く受け答え出来ないような場面もあり、英語力のなさを悔いました。当然予想していた話ではあるのですが、より綿密なコミュニケーションする上で英語学習が必須であると、改めて感じました。

デモアプリの運用について

今回はスマホ・サーバー(GCP)・Looking Glass(+PC)という少し複雑な構成の展示でしたが、当日は特にトラブルらしいトラブルもなく乗り切れました。wi-fiが不安定になることは予想していたため3Dデータは事前にアプリに組み込んだ形にしており、サーバーではスマホ側アプリからの操作を通知するためだけの仕様にしたことが功を奏したと思います。初日は約7時間あったのですが、その間一度もアプリを終了することなく連続稼働に耐えきれました。

視察周りの話

今回は主に出展が忙しく他のブースなどはあまり観られなかったのですが、その中でも気になったものを紹介します。

Focals by North

今回発表された訳ではないのですが、以前から話題で気になっていたスマートグラスが現地で販売されており、迷わず購入してきました。

写真から分かる通り、圧倒的に自然な見た目のスマートグラスで、ディスプレイがついているとは思えないスマートさです。

購入難度さは網膜投影という方式によるもので、黒目の位置に直接光を投射する関係で非常に正確なフィッティング(調整)が求められます。頭部の3Dスキャンや手動での細かい調整があり、購入まで約50分ほどかかりました。僕は度なしのものを購入しましたが、度付きのものはその場で受け取れないため3週間後にとりにくる必要があるみたいです。

下記は音声認識エンジンのAlexaと組み合わせたものです。実際に僕が撮影しています。

未来の体験だと思っていたことが、既にここまで実現されているということで、非常に可能性を感じるデバイスでした。

Varjo XR-1

肉眼レベルの超解像度VRHMDであるVR-1にビデオシースルーがついたモデルです。

ツイートの通りなのですが、本当に脳がバグるレベルで感動しました。言ってみれば解像度が上がっただけですが、ここまで体験が変質するとは思いませんでした。実際、今回のAWEでは最も優れた展示に贈られる賞を受賞していました。

しかも発売は年内らしく、こちらも要注目のデバイスです。

Looking Glass Pro

AWEのタイミングで発表されたLooking Glass Proも非常に魅力的でした。

その場で立体視写真を撮影出来るデモも楽しかったです。

ブースにいたLooking Glass Factoryの方に自分のデモ動画を見せたところ、知ってくれていて、その場で握手を交わしたりもしました。

最後に

そんなこんなでなんとか出展をやりきることが出来ました。実際に展示することで見えてきた課題や学びがたくさんありました。今回の出張の諸々の費用を負担してくれた会社には、アウトプットや成果という形で還元できるように引き続き頑張っていきたいと思います。

最終日にくたくたになりながら食べたお肉の画像で締めたいと思います🙏

関連

マネージャーのレポート、全体的に非常に詳しくまとまっています。

txt.ikkou.com

【供養】未踏事業への提案が採択されませんでした

TL;DR

  • 「未踏」とは、国が支援するIT人材の発掘・育成事業
  • 友達と一緒に応募した
  • 落ちた

f:id:splas_boomerang:20190604002539j:plain
提案に当たり購入した書籍

初めに

未踏事業というものがあります。

「未踏」は、経済産業省所管である独立行政法人情報処理推進機構が主催し実施している、”突出したIT人材の発掘と育成”を目的として、ITを活用して世の中を変えていくような、日本の天才的なクリエータを発掘し育てるための事業です。

未踏:事業概要:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

提出年の4月1日に25歳未満であることが条件で、今年が最後のチャンスでした。そこで名古屋に住んでいた時からの友人である @tomori_hikage を誘い、一緒に提案書を出しました。

未踏に採択されると業界で活躍する方がプロジェクトマネージャー(PM)となり、プロジェクトに対してアドバイスを貰える点が魅力的に感じました。また、作業時間に応じて時給1,600円が付与されます。今回はOSS開発の提案書を出したのですが、本来であれば自分たちだけで進めなければならないプロジェクトを国が支援してくれる点が非常に魅力だと感じました。

結果としては一次審査で不採択となってしまったのですが、多くの時間と労力を割いて議論をし社会的に意義があると思える提案を考えられたので、ここで公開したいと思います。

参考: delihiros.hatenablog.jp

続きを読む

#技術書典6 で頒布したxR合同誌『ぷれぜんすっ!』の振り返りとお金の話

f:id:splas_boomerang:20190519105552j:plain

TL; DR

  • Re:VIEWを使いPull Requestベースで執筆を進めた
  • 物理本+DLカード+Boothで計150冊以上売れた(2019.05.17時点)
  • 赤字だったが損益分岐点やアピールの重要性、物理本需要についての学びを得た

頒布物: nkjzm.booth.pm

はじめに

04/14(日)開催の技術書典6でxR関連の技術書を頒布しました。 会社のxRチームの中から有志を募って制作した合同誌で、初めての試みでした。

実際に制作から販売までやってみて多くの学びがあったので、記事としてまとめたいと思います。

内容についてはこちらの記事をご覧ください。 kohki.hatenablog.jp

続きを読む

【イベントレポート】AR Developer Meetup #2 で垣間見たAR開発の"イマ"

はじめに

2019.05.10に開催されたAR Developer Meetup #2に参加してきました。

ar-japan.connpass.com

このイベントは株式会社MESONとサイバーエージェント XRギルドの共同開催で、AR開発をしている人の話を各15分づつ、LTより少ししっかりめの粒度で聞くことが出来る勉強会になっています。

私は#1から参加しているのですが、その時もすごい盛り上がりで、AR系に興味がある開発者の方は参加しておいて損はないイベントだと感じました。

togetter.com

今回はそんなイベントの様子を紹介していこうと思います。

続きを読む

#技術書典6 でメ社xRチームによる合同誌『ぷれぜんすっ!』を頒布します。各章の概要やDLカードの紹介など。

f:id:splas_boomerang:20190404144938p:plain

2019.04.26追記

Boothでの販売を開始しました。

nkjzm.booth.pm

TL; DR

  1. 04/14(日)開催の技術書典6@池袋で合同誌を頒布する(ブース: け64)
  2. メ社xRチームによる全7章172ページの豪華描き下ろし
  3. 物理本(pdf付き) & オリジナルDLカードをそれぞれ1,000円で販売

はじめに

04/14(日)開催の技術書典6で技術書を頒布します。 メ社xRチームの有志7名が書いた全172ページの大ボリュームで破格の1,000円なので、是非買ってください! という記事です。*1

このチームで本を出すのは今回初めての試みだったのですが、出来上がりはきちんと自信を持ってオススメできるモノとなりました。この記事では「1. どんな内容なのか」「2. どんな形態で販売するのか」を紹介していこうと思います。

*1:ページ数が多いので原価率が高くなってしまい、ある程度売れないと赤字になるという危惧が含まれていますw

続きを読む