【CEDEC 2016レポート】 BIOHAZARD7 resident evil におけるゲームオーディオワークフローとシステム―コストをかけずにクオリティを高めるために改善したこと
5分で分かる内容まとめ
登壇者
小島 健二 株式会社カプコン CS制作統括 プロダクション部 サウンド開発室 サウンドプログラマー
鉢迫 渉 株式会社カプコン CS制作統括 プロダクション部 サウンド開発室 サウンドディレクター
概要とミッション
効率良く効率の良いサウンドシステムを作った話
メインコンセプト
「恐怖」
ホラー性の深化のため、圧倒的没入感のためTPSからFPSにし、フォトリアルな表現を用いる。
サウンドコンセプト
「聞き取る恐怖」 プレイヤーは生きるために耳を澄まし、聞くことで恐怖を感じるジレンマを表現。
コアピラー(柱)
- イマージブサウンド
- その場にいるようなサウンドデザイン、日常感
- トラウマサウンド
- イマージブサウンドの対比として、非日常な音で恐怖を植え付ける
- ダイナミックサウンド
- ゲームの進行に合わせて動的に変化させる
コアピラーの実現
- 新しいエンジン(RE ENGINE)
- 体験を重視したゲーム作り
- 作って壊してまたつくってのイテレーション
サウンドシステムをゼロから
- 人がすべきことと機械がやることの切り分け
- プロトタイプと同時にエンジンの開発も進める
- 人員は多くない
ワークフローとシステムのコンセプト
「前行程が終わるとざっくりいい感じに音が鳴らせる」
前行程とは、サウンドが依存する絵作りの部分。
- 上流行程変わりまくる(イテレーションしてる途中だから)
- 上流に左右されないシステムを目指す
- リッチな表現をすくない手数で
- 物量が増えても重くない
- アートとかサウンドのアセットは後行程に集中させる
ワークフローとシステムの概要
今までは、それぞれのアーティストが作ったアセットを、プログラマがソースコードでタグ付け。
RE ENGINEではプログラマふくめ、全員がシーンにタグ付け。
プログラマの役割は
- きっかけをだす
- 状態を見れるようにする
- 値を見れるようにする
モーションに対しての音声
- 出戻りが多いから大変
- 自動化かつ後で調整可能に
- 衣擦れ
- 足音
- デザイン要素が強い音は自動化しないようが楽
アタリの設置を半自動化
- アタリ(遮蔽/リバーブ/環境音)の設置を半自動化
- 凹凸とかあると大変
- やり直しが後半に集中する
- メッシュを利用する
- 背景アーティストと相談
- マテリアル単位に設定しておいて流用
- 重くなったらだめ
- とにかく並列化
- 発音のまびきをする
メリット
- 背景のスケジュールがサウンドに左右されなくなる
- 背景が進むにつれ背景のディテールが向上し、クオリティが上がっていく
デメリット
- 背景アーティストの手間が増える
字幕の表示切り替え
他言語対応だけど、字幕調整担当者はいない。そこで、音声データを用いてほぼ自動化した。
必ず守られる命名規則
規則を作っても守られないから、命名規則を機械的にするツールを作成。再生中の音声がわかるようになる。
結果、不具合が分かりやすくなった。
まとめ
- 前行程が終わることで、仕事が勝手に進む!
- 工夫して作業を減らすことで、磨く時間が作れた!
ゲーム開発のそれぞれのセクションを理解し、WinWinの関係になれるような方法論を模索した。「する」のも「してもらう」のも、協力が大切。
感想
サウンドに関するそれぞれのセクションを見つめ直すことで効率化を測れたというお話でした。お互いに方法を模索することで、コストと品質のトレードオフにならないばかりでなく、+αのメリットまで生まれることが面白いと思いました。大規模なシステムだからこそ、大まかな部分では効率化をし、重要なディティールにかける時間を確保することが重要だと感じました。