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プログラミングで世界を変える

ゲームプログラミングと技術のこと

【CEDEC 2016レポート】 エンタテインメントVRに役立つアカデミックの知見

5分で分かる内容まとめ

このセッションは

  • それぞれの登壇者の方のセッション
  • 質疑応答形式のパネルディスカッション

によって構成されていました。

エンタテインメントVRに役立つアカデミックの知見 ~触覚と運動とLatency~

登壇者

梶本 裕之 電気通信大学大学院情報学専攻准教授

触覚と運動とレイテンシー

タッチパネル上でスライドする時の感じ方。

  • 100ms, 50ms
    • 普段のスマホこのくらい、かなり遅れてる
  • 10ms
    • ほぼついてる
  • 1ms
    • ぴったり

遅延によって質の感じ方も変わってくる。

聴覚と触覚

  • シャワーと音楽を同期
    • シャワーの水が体に到達するまで約100ms遅れるから、100ms再生を遅らせるとぴったりになる。
  • 全身の触覚提示
    • 光センサーでレイテンシーをほぼ0にする。

運動と聴覚と触覚と視覚

  • 楽器演奏
    • 鍵盤の打鍵と合わせて振動をさせる。
  • エレベーターの上下運動とVRHMDを同期
    • エレベーター下降中に上昇する映像を見せると、上昇しているように感じる。上下感覚は視覚で容易に改変可能であった。

エンタテインメントVRに役立つアカデミックの知見 キャラクタ表現編

登壇者

長谷川 晶一 東京工業大学未来産業技術研究所准教授

HMDと距離感と視点

パーソナルスペースについて

  • 距離が近くなると、アイコンタクトが減る。
  • 距離が離れていても男女はあまり目が合わない。
  • 円筒と人にしたり目が開いたり新鮮追従したりすると、徐々に距離をとる傾向になる。

レビュー論文

100個の論文をまとめてくれてる。

目の動き

f:id:splas_boomerang:20161125022344j:plain:w500

具体的な数値の初期値としての利用が有効。

視線

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作り方の言及はないが、パラメータとして知っていると便利。

キャラクターのシミュレーション

  • 反応しないキャラクターに話しかけるのはつらい。
  • うなづいたり共同注視したりすると話しやすい。

まとめ

  • HMD VRでは距離感が感じられる、視線がある。
  • 表情よりも視線やうなずきがスムーズな会話には大切。

VR酔いの知覚心理学

登壇者

北崎 充晃 豊橋技術科学大学情報・知能工学系准教授

どういう時に酔うのか

  • 錯視をみると酔う
  • 車に酔う
  • 発達で酔う、あかちゃんは酔わない
  • 運転をしていると酔わない
  • 変なメガネを酔う
  • 視野反転メガネ
    • 1週間もあれば普通に生活出来る。

VR酔い

Oculusのベストプラクティスは知覚心理学的にかなり完璧に近い。

酔いの理論

  • Conflict Theory 感覚間の矛盾
  • Poison Theory 毒物嘔吐

感覚間矛盾をなくそう

  • 時空間的ズレを最小化
  • 早すぎる移動や方向変化を抑制

しかし、リダイレクション(曲がって移動してるのみまっすぐ移動しているように知覚すること)したい場合がある。

そこで、ズレや矛盾を閾下にする。

知覚できない物理刺激範囲=閾値

どうする?

  • ゆっくりとした移動
  • 移動時の視覚情報を減らす
  • 慣れる(順応)
    • 定常的なズレであれば、徐々にそれが標準になる
  • 注視点・固視点をおく
  • 視野変化を自分で行う
    • 予測ができると酔いにくい

まとめ

  • 時空的ズレを最小化
  • 矛盾が生じる時は閾下に近づける
  • 慣れ訓練を活用
  • 眼球運動視点を制御
  • 予測性と能動性をあげる

パネルディスカッション

モデレーター

簗瀬 洋平 Unity Technologies JapanJapanProduct Evangelist / Education Lead

エッグマンの感情と表情の話

  • 視線は感情とはある程度無関係
  • 視線は自然に話すためのテクニック
  • コミュニケーションの仕草とかの話
  • 対人魅力の研究として、自分と似ている人というのがある。
    • 対人魅力で自分と水準が近い人を好きになる傾向があり、動作や視線でも同じようなことが言える

匂いとVR

  • 匂いは方向感覚がわからない
    • 他の触覚による

自己主体感

  • 行動が自分の起こしたことであるかどうが
  • 投稿失調症では自己主体感が感じられない
    • 薬物で近いことはできそうだけど、使うことはなさそう

VR酔いの定量化

  • SSQ(Simulator Sicknes Questionnaire)を利用
    • 酔いのためのアンケート

VRによって時間感覚を改変する可能性

  • 心臓の感覚が基準になっているわけでもない
  • 心臓の感覚すらも認知だから、心臓の感覚を操作することも可能
  • 心理学を研究するとVRに役にたつ

感想

それぞれの識者の方がVRについてのトピックを紹介してくれると言った内容のセッションでした。全体を通して深い内容に触れている訳ではないのですが、開発の際に知っておくと良い項目を多く知ることができ、非常にためになる講義でした。

梶本さんのセッションは運動や感覚をそれぞれ同期させる(=レイテンシーを0に近づける)と感じ方が変わってくるという内容でした。VR酔いを防止するために遅延を減らすというアプローチはよく見られますが、質の感じ方を変化するためにレイテンシーを減らすという考えは初めてお聞きしたので、非常に興味深い内容でした。

長谷川さんのセッションはキャラクタとのインタラクションの話でした。他人と接する際に自然に行なっている行動を具体的にあげ、どの要素が自然なインタラクションを生み出すのかが紹介されていました。キャラクタをプレイヤーに注視させる試みはありますが、どの程度、どの頻度で行うのが良いのかは既に心理学の分野で研究されているとのことなので、これらを理解した上でVRにどう落とし込んでやるのかが重要だと思いました。

北崎さんのセッションはVR酔いについて、理論からの実践までの紹介でした。感覚間の矛盾が酔いに影響するとのことですが、これを単に減らすと酔いが軽減されるという話に止まらず、閾値以下で意図的に操作することでVRならではの表現ができることが紹介されており、非常に面白かったです。

関連リンク