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【イベントレポート】AR Developer Meetup #2 で垣間見たAR開発の"イマ"

はじめに

2019.05.10に開催されたAR Developer Meetup #2に参加してきました。

ar-japan.connpass.com

このイベントは株式会社MESONとサイバーエージェント XRギルドの共同開催で、AR開発をしている人の話を各15分づつ、LTより少ししっかりめの粒度で聞くことが出来る勉強会になっています。

私は#1から参加しているのですが、その時もすごい盛り上がりで、AR系に興味がある開発者の方は参加しておいて損はないイベントだと感じました。

togetter.com

今回はそんなイベントの様子を紹介していこうと思います。

その前に

勉強会の様子は主催者の方のTwitterでライブ配信されていました。アーカイブも残っているようなので、見逃してしまった人は是非見てみてください。 www.pscp.tv

また、Twitterのハッシュタグは「#ARDev」です。下記は期間指定付きの検索クエリなので、当日の盛り上がりの様子を感じられると思います。 twitter.com

イベントレポート

会場は株式会社サイバーエージェントが入っているAbemaTowersでした。ビルの入口に公開収録スタジオがあり、おしゃれな雰囲気がとにかくすごかったです(語彙)

会場に入り受付を済ますと、名札と自分の属性を表すシールが用意されていました。

また、イベント開始前からアルコールの提供があり、カジュアルな雰囲気で進行していきました。

MESONで手がけたARアプリ

株式会社MESON XRエンジニア/Unityエンジニア 比留間 和也さん

※スライドの文字消えちゃってますが、最大化すると見えます。

MESONで開発した2つのロケーションベースARの知見を発表してくれました。

ロケーションベースARの最大の特徴は「その場で体験してもらうこと」なので、その1回の体験を最大化することに注力したそうです。

例えばオーディオ一つとってもオープンタイプのスピーカー/イヤホンを採用し、周囲の環境音が聞こえて周りの人とコミュニケーションを取りやすい体験を実現。

直接ユーザーは触らないが、スタッフがアテンド時に使える機能もしっかりと用意していたそうです。アクセスガイドに関しては特に実装等なくiOSの標準で使える機能らしいので、iOSを使う展示をする時はかなり役立ちそうだと感じました。

今回のメイン機能であるARクラウド部分には、複数の端末で同じ空間を認識する必要があり、そのために行った実装上の工夫も紹介されていました。

実運用に即した形で開発されたARコンテンツの知見の紹介でしたが、非常に興味深い内容でした。

AbemaTV × Keirin AR

株式会社AbemaTV エンジニア 辰己 佳祐さん

個人的には1番おもしろいセッションでした。

今回開発したKeirin AR(競輪AR)は競輪番組の解説時に使用されるアプリ。マーカー上に複数人の選手が走っている様子が表示されていて、マーカーを移動させながら分かりやすく状況を解説するのに使用される。ツール・ド・フランスの解説に使われていたシステムを参考に開発したらしいです。

まず課題になったのがAR表示に使用するライブラリの選定。ARKit, Kudan, Wikitudeをそれぞれ検証し、今回の要件にあったものを検討した。ARKit, Kudanはそれぞれ利用がしやすく便利な機能もたくさんあったが、今回は同時に複数選手のマーカーを認識する必要があること、またカメラが引いてもトラッキングが外れにくいことからWikitudeが採用された。

そのスライド、1枚1枚にめちゃめちゃ価値がある奴ですね…。

また、ARマーカーのデザイン制作の過程についても紹介されました。こういうの見るの初めてなので面白かったです。番組で使うためデザイン性も重視したが、認識精度とのトレードオフもあり最終的にはシンプルな形に落ち着いたそうです。左右上下の誤判定を防ぐためにアシンメトリな配置が採用されている点も興味深いです。

それぞれ検討の過程の知見が丁寧に紹介されたセッションで、とてもおもしろかったです。近い技術領域の開発をする時に見返すべき資料なので、頭の片隅に残しておきたいと思います。

CUBIC MOVIE 代表 小池 浩希さん

「VVでぶいぶい言わせてる小池」を自称する小池さんの話。VVとはVolumetric Videoの略で、質量があるとか立体的な、みたいなニュアンス。説明しても通じないのでホログラムって紹介することが多いらしいです。ホログラムは記録方式に関する技術なのでもちろん厳密には違いますが、もちろんその辺りは理解した上で使用しているとのこと。

ホログラムを安価に実現する方法を思いつきPoCを作ったところかなり良いものが出来たが、投資家には理解されず失敗だったという話。

個人的にはKinect 4台で軽量なホログラム表示出来るの普通にめちゃめちゃすごいと思ったんですけど、ビジネスって難しいですね…。

Gugenka 事業統括兼プロデューサー 三上 昌史さん

HoloModelsの話が中心でした。部屋にバーチャルなフィギュアを置く、みたいなところから、等身大モデルを配置して空間を広げていくとVRっぽくなっていったりと、意外と色んなことができるという話。

リアルのフィギュアも素晴らしいけど、確かにデジタルデータとして保持して観たいときにAR表示や別のプラットフォームで利用出来る形はかなり未来っぽくておもしろいですね。

ARイノベーションで人と人の繋がりはどう変わるのか?

Graffity Inc CEO 森本 俊亨さん

数年間開発してきて分かったARアプリの市場感などの話をしてくれました。

技術開発にも力を入れていて、めちゃめちゃ軽量なARCoundを独自実装しているらしい。すごい…。

口頭でのエモい話が多かったので、興味があれば動画のアーカイブを見るのが良い気がします。参加者アンケートでも満足度No1だったそうです。

AWE NITE TOKYOの話

AWEという世界的なARカンファレンスの日本支部を立ち上げた話の紹介をしていました。NITEはNightのカジュアルな省略形です。

ちなみにAWE USA 2019はメルカリも出るのでついでに宣伝ですw

FBコミュニティもあるそうなので、気になる人は入っておくと良い気がします。

懇親会

同じ会場で立食形式の懇親会がありました。発表した方以外にもAR系のつよつよな個人・団体たくさん参加しており、とても有意義なネットワーキングが出来ました。

懇親会ではデモ展示もあり大変盛り上がっていました。実際に体験しないと分からないものに触れられるのもxR系勉強会のいいところですね。

イベントに参加してみて

二回目の参加でしたが、今回も満足度が高い内容でした!AR系に興味がある人であれば参加して損はしないと思います。

AR Developer Meetupは次回以降も開催されるそうなので、是非チェックしてみてください。Connpassのメンバーになっておくと通知が来るのでオススメです。

ar-japan.connpass.com