株式会社サイバーエージェントを退職しました
はじめに
2018年9月28日をもって、株式会社サイバーエージェントを退職しました。
退職に至った経緯と、今後について記したいと思います。
TL;DR
- 評価に関してミスマッチを感じた
- 新しい環境でもxRをやっていく
このエントリの目的
個人的な考えですが、退職エントリにはエンジニアの価値観が表れやすいと思っています。
退職エントリというとネガティブな面が注目されがちですが、その人にとって何が許容できなくて、何を大切にしているかを知ることができるという意味で、非常に有用です。
僕の場合は、有名なこちらのエントリを読んだ時に強い共感を感じ、影響を受けました。 hiroki-uemura.hateblo.jp
拙筆ですが、このエントリも誰かの役に立てると幸いです。
サイバーエージェントについて
株式会社サイバーエージェントには2017年4月に新卒として入社しました。
就活中はサイバーエージェントがゲームを作っていることすら知らなかったのですが、インターンや選考を通して社員の熱量の高さや風通しの良さを知りました。若手でも活躍出来る文化があり、頑張り次第で評価もされると思って入社を決めました。
入社後にしたこと
初めは約2ヶ月間の技術研修がありました。 3,4人のチームになって、前半1ヶ月はSlackのクローン、後半はInstagramのクローンを作るという内容でした。結構良い研修で、50人くらいいる同期エンジニアは皆すでに技術力があるので、それぞれの得意分野を活かしつつチームで協調して開発を行うことが主軸として置かれていました。
僕のチームはゲームエンジニアが2人いたので、Unityを使った派手で愉快な感じのSlackを作りました。ツールとしての要点を満たしつつ、自分たちの持ち味を最大限活かした素晴らしいプロダクトだと自負していたのですが、最終発表では怒られて社会の難しさを感じました。
それからはVR Agentという子会社に配属され、AbemaTVのVR版クライアントの開発を立ち上げから担当しました。少人数のチームながらも開発リーダーを任せてもらい、なんとかリリース出来ました。
エンジニアリングはまだしも、タスクやスケジュールのマネジメントみたいな部分は未経験だったので相当に苦戦しました。開発をしつつ、開発を進めるための色々な調整をするスキルが身についたので、とても良い経験になったと思います。
並行して、部署や子会社を跨いだ横断的な活動もしていました。サイバーエージェントは社内での技術交流が盛んなイメージがあり、そういった点にも魅力を感じていたので積極的に参加しましたし、時には開催することもありました。LTや、定期勉強会の講師、Qiita:Team1への投稿など、アウトプットもたくさんしました。社内の技術コミュニティの活性化にはかなり貢献できたんじゃないかと思っています。
退職前の半年間は、また新規開発をしていました。途中で抜ける形になってしまったのですが、かなり面白いサービスなのでリリースが楽しみです。
入社してよかったこと
やりたいことをやらせてもらえる
本人がモチベーションを感じる領域で仕事をするのことが成果になりやすく、それが本人的にも会社的にもwin-winという考えが浸透しています。大きな会社だと入社後に希望通りの配属がされない懸念があると思うのですが、少なくとも会社の都合だけで配属先が決まることはありません。2
僕の場合、実は入社を決めたタイミングではソーシャルゲームの開発をするつもりでいました。しかしその約半年後にVRの事業部が立ち上がったことで、VRをやりたい気持ちが生まれました。そこで配属ではVRに希望を出したところ、有難いことにVRの開発が出来ることになりました。
他にも社内でカジュアルに異動できるシステムがあったり、不満を定期的に汲み取るGeppo3という仕組みなど、社員のモチベーションを尊重する文化はかなり根付いていると思います。
風通しがいい
xRやゲームだけじゃなく、メディアサービスからアドテクまで幅広い領域の人がいるので、社内だけで色々な技術の話ができます。Androidの質問をSlackで質問したら5秒で解決したり、描画の話をコンシューマー出身のエンジニアに教えてもらえたりしました。 自分から動けば社内に無限の知見があるのは、メガベンチャーらしい強みだと思いました。
成長できる
社内での勉強会やスキルアップのための機会がたくさんあります。3DのプロがMayaという3Dモデリングツールの使い方を教えてくれたり、レッドコーダー4がアルゴリズム教えてくれたり、Microsoft MVPの方がC#最適化を教えてくれたりします。外部から講師を呼んで勉強会を行うこともできます。少しの積極性があればかなり成長の可能性がある環境だったと思います。
退職に至った経緯
評価のミスマッチ
勢いのある若手が活躍する会社というイメージがあったのですが、思うような評価を得られなかったことが要因です。
決定的だったのが3月にあった査定でした。評価と給与はある程度比例するはずなので、このタイミングでの査定は入社してから1年間の評価が分かる機会という認識でした。 自己評価としては、1つのプロダクトを立ち上げからリリースまでやりきりましたし、社内の技術コンテストでは3位に入賞するなどスキルも十分に示せていると思っていました。また、積極的に社内活性化のために様々な取り組みもしてきました。
しかし、査定結果は2018年度新卒入社エンジニアの最低年俸と同額5でした。
某エントリの一文が頭を過ぎりました。
これまで3年間、自分なりに会社をより良くしよう、自分の実力を向上させようと努力してきたのは、何の評価もない今年新卒で入ってきた彼らと全く同じ評価なのだ。
まさにこの状況でした。
入社から約1年は会社のためになることを考えて積極的に行動してきたつもりでしたが、全く評価されなかったように感じました。額面はそう低いわけではないですが、相対的には後輩エンジニアの下限と同じです。 もちろん自分に至らなかったことはあるとはいえ、この結果に納得はできませんでした。
評価者の方にその旨は伝えてみたのですが、結果が変わることはありませんでした。理由は色々あると思いますが、何にせよ僕と会社の評価に関するミスマッチは埋まらないことを確信しました。
無理に留まる必要もないと思った
そんな査定があってモヤモヤしているタイミングで、ある転職エントリが公開されました。
すごく大雑把に言うと、前職は良い環境だったけど、より本人に合った会社に転職したという内容でした。Negipoyocさんが社会人3年目で2回転職していることもあって、転職という選択肢もありなのか〜と思うようになりました。
その1ヶ月後くらいに同期のエンジニアがサイバーエージェントから退職する旨を聞きました。学生時代から切磋琢磨してきた関わりの深い同期だったので、これもかなり衝撃でした。
そうして転職という選択肢が身近に感じられるようになったことがきっかけで他の会社も見てみたいと思うようになり、自分も転職することを決意しました。
あとから思ったこと
サイバーエージェントはエンジニアを大切にしようとする会社だといいますが、待遇というよりも「やりたいことを大切にしてくれる」という言い方が適しているように思いました。入社前に内定者としてアルバイトをしていた時も、時給は950円くらい1000円6でしたがやりたいと言ったことはやらせてもらえていました。
あと、社員はみんなモチベーションが高く、技術力が高い人もたくさんいます。熱意を持って仕事に取り組むのにはかなり良い環境だと思います。実際一緒に仕事させていただいた人は魅力的な方ばかりでした。
結果として退職することにはなりましたが、入社できたことはすごく良かったと思っています。VR開発の機会をもらえたことでxR領域に進む決断ができましたし、仕事を通してたくさんの出会いや学びも得られました。また、転職を考える過程で、自分が大切にしていることやモチベーションを感じることを改めて考える良い機会になりました。会社にも社員の方にもたくさんお世話になったので、何かの形で還元していけたらいいなと思っています。
次の会社について
転職を考え始めてから、いくつかの気になる会社にお話を聞きにいきました。 その中でご縁があった株式会社メルカリにお世話になることになりました。
メルカリではR4Dという組織の中でxRに関する取り組みをしていきます。 r4d.mercari.com
直近だとVTuber関連の技術やサービスに興味があったのですが、R4Dの@ikkouさんとお話する中で、xRでもっと先を見据えた社会デザインをしていきたいという想いが強くなりました。まだ新しい組織だったので、正直不安も大きかったです。しかし、折角新しい領域でやるのであれば、誰かの作った船に乗るより自分で船を作るくらいの気持ちで挑んだ方が絶対に面白いと思い、この決断をしました。
あとはコミュニティに貢献していく意識が強い所にも共感しました。ビジネスも大切ですが、僕の場合はそこに対してのモチベーションが低いので、それよりもxRでどんな世界にしていきたいかを考えることに集中して取り組んでいきたいと思います。
かなり自由に色々やらせてもらえそうな環境に魅力を感じつつも、ジョインするからにはしっかりと価値を生み出していきたいと思います。
最後に
メルカリのR4Dに興味ある人とか、就活相談とかあればお気軽にご連絡ください。 僕も相当悩んだので、力になれることがあると思います。
連絡先(DMにて): @nkjzm
あと例のリストも貼っておくので、応援していただける方はぜひお願いします。 Amazon.co.jp